ニュートラル

 病院にそれまであまり縁がなかった私。いろんな人が、入院していた。お見舞いに来る人のこころは一つ。

 なかには、赤ちゃんまで、入院していた。翌日いなくなった。。ヘリで、本島の病院へ運ばれたそうだ。難しい病気の場合は、そういうことになるらしい。ふくちゃんが、そうならないことを祈った。

 息子は、車いすをスケートボードかなんかと勘違いしている。もう、すっかり元気だ。あまりにも看護婦さんに注意されるので、退院させることにした。

 しかし、くちびるをぬっていて、まだ、抜糸は終わっていない。傷にふれないように、いっしょうけんめい食べている息子。親として、胸がしめつけられる。

 ふくちゃんは、頭痛とめまい。こぶも、なかなかひかなかった。事故の衝撃で、耳石がずれ、それで、めまいがするらしい。時間が必要とのこと。デリケートな人間の体。。。

 それにしても、ここの看護婦さんは、少しいらいらしている。。ふくちゃんも、頭を冷やしてほしかったりしても、なかなか来てもらえないとグチをこぼす。

 もう少し入院の必要もあったのだろうけど、ふくちゃんの希望で退院することにした。家族でいっしょにいるほうが気が休まるということだった。

 時間とともに、私も安心してきた。「よかった。。本当に、よかった。」ただ、後遺症が気になる。

 人間は、ゲンキンだ。命の心配がなくなると、次は、生活の心配をすることになる。さて、どうしたものか。帰るにしても、通院しなければならない。2人通院させながらの仕事。。どうしよう。頼れる人も近くにはいない。

 長い人生だ。ちょうど、息子も夏休み。長期滞在のできる民宿にお世話になることにした。長い休暇。家族3人だけのお休み。悪いことの後は、いいことないとね。そこは、台所もついていて自炊もでき、家具もついていた。近くで三味線を習うこともできた。お祭りでひよこをもらい、飼うことになった。ぴよぴよぴよっと。。

 自営業だったので、それこそ、こころの休みはなかった。家族とはいっしょにくらしてはいたが、普段の生活では、これほど、近い存在ではなかった。命が一番、家族が一番。ゆったりした生活で、それをかみしめていた。






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